2009年9月13日 (日)
2002年にはじめた日本・中国・韓国による「歴史認識と東アジアの平和」フォーラムは、11月21日(土)~23日(月・休)の日程で、第8回会議を東京で開催いたします。このフォーラムの当初からの目的は、日本の教科書問題に集中的にあらわれたような歴史の歪曲に反対するとともに、3国が共有できる歴史認識を発展させることで3国間の関係を安定させ、東アジアの平和を促進することにありました。
大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会 結成2周年集会
●経過報告/決算報告 ●弁護団から
●沖縄のいま ●教科書会社への要請行動について
9月18日(金) 開場18時 開始18時半 終了予定20時半
文京区民センター3A会議室 参加費:500円
地下鉄都営三田線/大江戸線春日駅から徒歩0分(A2出口直上)
丸の内線/南北線後楽園駅から徒歩3分
JR総武線/水道橋駅から徒歩10分
※予約は不要です。会場に直接お越し下さい。
2005年8月5日に元座間味島の戦隊長・梅澤裕氏と元渡嘉敷島の戦隊長・赤松嘉次氏の弟である赤松秀一氏が原告となって大江健三郎氏と岩波書店を訴えた「大江・岩波沖縄戦裁判」は、2008年3月28日に大阪地裁で勝訴を勝ち取りました。原告は即刻控訴し、6月25日から大阪高裁で控訴審が始まりましたが、わずか2回の口答弁論にて結審し、10月31日に控訴審判決も勝訴しました。原告が上告したため、現在は最高裁の行方を見守っている状況です。一方、沖縄戦における「集団自決」に関する中学校歴史教科書の記述については、「日本軍の強制」が削除されてから、記述回復はいまだにされていません。
私たち「沖縄戦首都圏の会」は結成から2年を迎えました。この間「歴史の歪曲を許さない」ために、独自の学習会を重ねると共に、関連団体とともに教科書会社や文部科学省への要請、地裁・高裁の傍聴、裁判所への要請署名集めなどの行動を重ねてきました。結成2周年総会にあたり、これまでの経過を報告するとともに、最高裁勝訴へ向けて、皆様のさらなるご支援をお願いします。ぜひご参加ください。
主 催:大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会
(略称:沖縄戦首都圏の会)
連絡先:〒101-0051 千代田区神田神保町3-2 サンライトビル7F
千代田区労協気付TEL 03-3264-2905 FAX03-3264-2906
http://okinawasen.blogspot.com/
2009年9月 9日 (水)
教科書採択に関する要望について(回答) 横浜市教委より
9月3日付け
教科書・市民フォーラム
代表世話人 高嶋伸欣 様 柴田 健 様
横浜市教育委員会
委員長 今田 忠彦
教科書採択に関する要望について(回答)
平成22年度に市立学校で使用する教科書につきましては、関係法令や文部科学省、神奈川県教育委員会の通知や指導、および平成21年度横浜市教科書採択の基本方針に基づき、横浜市教育委員会の権限と責任において、平成21年8月4日の教育委員会定例会において、適正・公正に採択を行いました。
また、採決についても、「横浜市教育委員会会議規則」の規定に基づき、適正に実施したものです。
担当:横浜市教育委員会事務局
学校教育部小中学校教育課
電話045(671)3265
2009年8月 9日 (日)
教科書・市民フォーラム連続講座☆ 「今さら聞けない近現代史」
☆近代の歴史を楽しく学びませんか?
今年は教科書・市民フォーラムの地元・ヨコハマの開港150周年です。これをきっかけに、初歩的な歴史のお話も含めた連続学習会を企画しました。今さら周りには聞きにくいかな、と思うような基本的なことから日本の近現代史を学び、良い歴史教科書がわかる機会にもなります。今さら聞きにくい初歩的なこともていねいにやるので「今さら聞けない近現代史」というタイトルにしました。教科書問題が続く中で、私たちは問題となる歴史教科書を見る目を養うこともできます。
連続講座とはいっても1回のみの参加も可能です。講座ではみなさんに最近の教科書を知っていただき、また久々の?高校生気分も味わってもらおうと、本物の高校教科書をいろいろ取りそろえ、ご覧いただきます。またテキストにも使用します(会場でご購入できます)。
■会場:かながわ県民センター(横浜駅西口徒歩5分)
・第1回 9月26日(土)711号室 幕末~自由民権運動
・第2回 10月24日(土)304号室 国会開設~日露戦争
・第3回 11月7日(土)305号室 大正デモクラシー期
・第4回 12月19日(土)304号室 昭和初期~15年戦争前夜
このあと第5回:アジア太平洋戦争、第6回:戦後史と続きます。
■ 開場:13:30 1限:14:00~14:45 2限:14:55~15:40
質疑:15:50~16:30
■テキスト:高校日本史A教科書 ■資料代:500円
○参加申込み・問合せは教科書・市民フォーラム事務局までお願いします!(ただし常駐体制ではないので、お返事に時間がかかることもあります。ご容赦ください)
★ 教科書・市民フォーラム ★ 連絡先:FAX 045-471-7270
横浜市教育委員会による「新しい歴史教科書をつくる会」自由社版の歴史教科書の採択に抗議し、採択の撤回を要求する (声明)
2009年 8月 10日
教科書・市民フォーラム
代表世話人 高嶋 伸欣・柴田 健
〒222-0035 横浜市港北区鳥山町
1096-4―103
Fax:045-471-7270
横浜市教育委員会は、さる8月4日、「新しい歴史教科書をつくる会(つくる会)」編集の自由社版歴史教科書を市内18採択地区中8地区(港南・旭・金沢・港北・緑・青葉・都築・瀬谷、145校中71校)に採択した。私たちは生徒・現場教師や市民の声を無視したこの暴挙に対し怒りを込めて抗議し、採択の無効・撤回・やり直しを要求する。
現在、「つくる会」の歴史教科書は、会の内紛により扶桑社版と自由社版の2種類が発行されているが、その内容はほぼ同一で、現在著作権をめぐって係争中である。このような問題を抱えている教科書を敢えて採択し、生徒に供するのは、教育行政として無責任極まりない。
しかも、これら「つくる会」の歴史教科書は、国民主権の憲法下で天皇中心の歴史像を強調し、日本の植民地支配や侵略戦争の本質から目をそらして正当化・美化し、生徒たちに保障されるべき基本的人権や恒久平和主義、国民主権を軽視して軍事力を重視している。また、現実追認型で、声をあげて意見表明する姿勢が育たない「物言わぬ市民」を育成しようとするものである。
8月4日に開催された教育委員会では、「調査結果を重視する」との声が教育委員からあがりながらも、それらが無視されて、決められていった。さらに、今回の採決では、「横浜市教科書採択基本方針」に新たに全面改訂された教育基本法の趣旨に合致していることを加筆したにもかかわらず、自由社版以外の歴史教科書については、4年前の旧基本方針下での調査資料を流用して審議するという、不公平かつ不公正な手順で進められた。これは明らかに採択手続きの規定に反し、違法である。
また、今回の採決は無記名投票で行われた。横浜市の教科書審議・採択は、従来から公開で行われ、なんら支障はなかったはずである。にもかかわらず、あえて無記名投票に持ち込むことは、公職である教育委員の責任を不明確にし、情報公開、「開かれた採択」に逆行する行為である。
このようなやり方は生徒が使う教科書の決め方としてふさわしくない。横浜市はコンプライアンス(法令遵守)を重視する。この教育委員会の決め方は、それに違反したとして是正されなければ、市民に対する重大な信用失墜行為である。直ちに是正されなければならないし、今田教育委員長はその職を続けるべきではない。
また今田教育委員長は自由社版教科書について、「日露戦争の記述では愛情を持った表現が多かった」と発言したと報じられている。このような意味不明な、また一方的な見解が教科書採択の主な要因にされた点は、見過ごせない。日露戦争の「勝利」は一時的にアジアの人々に希望を与えたものの、その後の「脱亜入欧」的政策が、多くのアジアの人々に裏切りと見なされ、怒りと失望を覚えさせた史実を忘れている。この史実が他社の教科書には明記されている。とても教科書採択に権限を持つ人物の発言とは思えず、この教育委員長と自由社版教科書がアジアを蔑視し、アジアの人々の懸念を無視する共通性を持つことが見えてくる。国連ピースメッセンジャー都市であり、多くの民族が共生している横浜市においてこのような暴挙が行われたことは、これまでの市民の努力を踏みにじり、そして共生を妨げる恐るべき人権侵害にもつながることに気づくべき
である。何よりも生徒たちの教育の場にこのような教科書を無理やり持ち込もうとすることに怒りを禁じえない。
さらに自由社版教科書は、扶桑社版から急いで起こしたような製版で、これまでの間違いに加えて、新たな不適切な内容や誤字誤植がまだまだ多数ある「似せブランド品」ともいうべき欠陥商品である。これで検定を合格させた文部科学省の責任にも重大なものがある。
とりわけ、扶桑社版の沖縄戦記述「4月、アメリカ軍は沖縄本島に上陸し」に続けて、自由社版では「ついに陸上の戦いも日本国土に及んだ」と加筆し、それがそのまま検定で認められたのは、重大な事実誤認記述であり、看過できない。第1に、国土での陸上戦は、同年2月に始まった硫黄島(東京都小笠原諸島)の地上戦が最初であり、沖縄戦ではない。第2に、沖縄の地上戦は、本島上陸以前の3月26日に慶良間諸島への米軍上陸から始まっている。しかも、慶良間諸島では、この時「集団自決」事件が起きた。この「集団自決」に対する日本軍の強制を否定した2006年度高校「日本史」教科書検定に対し、沖縄県民を中心とする厳しい抗議を受けて、07年12月に文部科学省は、記述の再修正を認めた経緯がある。この「集団自決」の存在そのものを無視した記述を、07年次と同じ顔ぶれの検定官および検定審議会委員たちが誰一人として気づかずにいたとは、考えられない。「集団自決」そのものだけではなく、07年の沖縄県民の抗議等も存在しなかったかの如く、中学生に学習させようとしている点で、自由社版教科書は最悪のものである。同書を採択したことは、沖縄の人々に対する重大な背信行為である。
このように、自由社の教科書では中学生の段階で、沖縄戦について誤った学習をさせられることになる。神奈川県では、高校の修学旅行で、沖縄に行き平和学習を実施している学校が多いことが知られている。中学段階でも、沖縄戦の史実を正しく学習できるようにしておくことは、教育委員会の責務であるはずだ。
かつてこの横浜で提訴した高嶋(横浜)教科書訴訟を担ってきたわれわれとしては、以前から指摘してきた文部科学省の恣意的な教科書検定の問題点を目の当たりにして、このような杜撰な教科書検定なら不要であるとの指摘も改めてしておきたい。しかも、そうした誤りを指摘されていながら「検定に合格している」として、それらを一切不問とした8月4日の横浜市教育委員会審議は、容認できない。
その文部科学省でさえ、「21世紀の教科書は思考力育成を重視して、すぐ答えや結論のみつかるものにしないこと」と通知しているが、教育委員会では「自由社版は問いの答えがすぐ書いてあって、予習・復習に適している」というレベルの低い議論に終始したことも問題である。
また今回の採択には疑惑の声を聞く。横浜市教育委員会の今田忠彦委員長と藤岡信勝「つくる会」会長が何回も会い、自由社採択の内諾を得ているという情報が事前に流れ、教育委員会にも知らされていたという。このような疑惑が生じる教育委員長が教育行政のトップに君臨していることは、現場教師や市民無視の「教育改革」を進める横浜市の問題点を如実に示している。また教科書執筆者と採択者が接触することは独占禁止法に違反し、文部科学省の指導にも反している。 今回の採択は不公正・不正な犯罪的行為といえる。またやはり市民および現場教師等の声を聞かずにトップダウン型で横浜の教育をかき回してきた中田宏横浜市長の任命責任も当然問われるべきである。
生徒たちの教育に責任を負う教育委員会が、政治的で乱暴なやり方で「つくる会」教科書自由社版を採択したことは、大人として極めて恥ずべき行為である。私たちはこの暴挙に対し、断固として抗議するとともに、採択の無効・撤回・やり直しを要求するものである。 以上
2009年8月 6日 (木)
横浜市教育委員会の自由社教科書採択についての抗議声明
2009年8月4日
横浜市の教科書採択報告集会参加者一同
8・4横浜市教育員会傍聴者有志
横浜市教育員会は本日(2009年8月4日)、平成22、23年度使用歴史教科書として、自由社の教科書を市内18採択地区中8地区で採択することを決定した。私たちはこの決定が極めて恣意的であり、市民だけでなく、国際的にも説明責任を果たすことなく行われたことに強く抗議する。
自由社版歴史教科書は、登場以来、国内だけでなく海外政府からも繰り返し批判されてきた極めて問題のある扶桑社版教科書とそっくりな教科書である。この教科書は、古代史において伝承を史実と混同させるように扱い、日本の歴史を天皇中心のように描いている。また、近現代史においては、日本の植民地支配や侵略戦争を正当化・美化するいっぽう、日本の戦争の加害や被害についてはほとんど書いていない。戦争そのものを正当化し、日本国憲法を敵視する内容である。このような歪曲した歴史を子どもたちに刷り込むことによって、子どもたちを「戦争をする国」の忠実な国民に育てることをねらいとする教科書といわざるを得ない。
また、自由社版教科書には、多くの間違いや国際常識に反する記述があることが指摘されている。2008年度の教科書検定において、文部科学省は扶桑社版と全く同じ記述をした自由社版に対して、少なくとも8か所の誤りを指摘し、修正させている。それでもなお間違いがあることが指摘されている他、生徒の実情を無視した本文や脚注の文字の小ささや、斜体、地色上の文字の読みにくさなど、自由社版は教科書としての基本的な条件を著しく欠いている。
また、自由社版は現行の扶桑社版の内容を継承することを目的とし、内容もほとんど同じであるため、扶桑社は、「著作権者全員の了解を得なければ、この複製は、法律上、禁止されています。」などと警告を発してきており、提訴もあり得ると報道されている。
教科書採択に当たっては、複製権などの諸権利を侵害する可能性のない公正な教科書を選ぶべきである。
また自由社に対しては、「新しい歴史教科書をつくる会」・扶桑社とともに、公正取引委員会に独占禁止法第2条第9条項および第19条に基づく「申告(告発)」が提出されており、教科書採択の公正確保の面でも問題のある教科書である。
全国一の都市規模を有し、国際的な港都でもある横浜市が、このような自由社版教科書の問題点を考慮することなく採択を決めたことに対しては、国内だけでなく、アジア近隣諸国からも厳しい批判を受けるであろう。
われわれ採択審議傍聴者、傍聴報告集会参加者は、横浜市教育委員会が、開かれた採択に逆行する「無記名投票」を行い、不公平な選定手続きによって、自由社版歴史教科書を採択した暴挙に対し、怒りをもって抗議する。われわれは、横浜市教育委員会がただちにこの採択を撤回するとともに、あらためて十分な調査研究に基いて採択をやり直すよう要求する。
以上
2007年2月 3日 (土)
教科書配布裁判を支援してください
教科書配布裁判を支援してください
背景には扶桑社問題が?!
横浜市の不公平な教科書配布の不当性を訴えます
<特定の教科書だけを配布していいの?>
教育委員会が、各学校に教科書を配布するなら、全教科全種類を配布すべきです。
ところが横浜市教委は、06年3月、全種類の教科書ではなく中学5教科だけ、しかも05年の教科書採択で候補に推薦された教科書だけを、研究用として市立中学校に一律配布しました。公平性や公正さを維持すべき教育委員会が、全種類ではなく、あらかじめ教科を限定したり、教科書の種類を取捨選択したうえで、全校に一律配布する行為は許されるのでしょうか・・・?
<不公平な配布は、横浜だけの問題じゃない!>
横浜のこの不公平な配布方式を黙って許せば、全国の教育現場に影響しかねません。
採択の候補教科書として推薦されると、候補外の教科書を排除したうえで各学校に税金で配布され、手にとってもらえる・・・次回採択への宣伝になるだけではありません。特定の教科書を支持する人々が、研究を強制したり、気に入らない教科書を排除したりする手段として、利用する可能性も出てきます。
そこで07年1月18日、「教育委員会が、採択費約380万円を使って教科書を取捨選択して配布した行為は、教育委員会としての公平性を欠き、裁量権を逸脱した宣伝行為に等しい」として、横浜市民33人が横浜市長を相手に裁判を起こしました。
<扶桑社問題が背景に?>
横浜市の配布には、別の問題があります。背景に扶桑社教科書の学校現場持ち込みの意図があるのではないか、という疑念です。05年の横浜市の採択は、学校現場の声を遮断し、歴史・公民の採択では扶桑社が初めて候補入りする一方、市内半分で使用されてきた日書は候補外になり、全地区が別の社に採択変更されました。そして配布のきっかけは、扶桑社を支持した教育委員の「歴史・公民の候補だけの配布」提案だったのです。民主的といわれた横浜の教科書採択は、すっかり様相を変えています。
この不当な横浜の教科書配布を見逃せば、全国に波及しかねません。
皆さまのご支援を求めます!
公平な教科書配布を求める会 代表 高嶋伸欣(琉球大学教授)
◆電話FAX 045-774-5669
◆賛同金 1口1000円以上(入会ご希望の方は2口以上 会報をお届けします)
◆郵便振替口座 00220-8-133178 公平な教科書配布を求める会
◆呼びかけ 教科書・市民フォーラム、かながわ歴史教育を考える市民の会、
教育委員会を傍聴する会、教科書採択制度の民主化を求める神奈川の会
2007年2月 2日 (金)
高嶋教科書訴訟HPトップ
高嶋教科書訴訟とは… 30回に及ぶ東南アジアの戦争の傷跡に学ぶ「マレー半島戦争追体験の旅」の取り組みで知られている高嶋伸欣さん(琉球大学教授・前筑波大学附属高校教員)は、1994年度からの新教育課程用の教科書検定で『新高校現代社会』(一橋出版)の執筆を断念させられました。文部省(当時)は新教科書検定制度の下で高嶋さんに対し、福沢諭吉の「脱亜論」・天皇死去の際の報道・湾岸戦争と情報コントロール(メディア操作)・掃海艇派遣の四つの内容について削除を命じました。高嶋さんは「違憲、違法な検定意見で執筆を断念させられ、精神的苦痛を受けた」として、1993年6月、居住地の横浜地裁に国家賠償を求める民事訴訟をおこしました。1965年に始まり、3つの訴訟を連続して提訴した家永三郎さんにつぐ、第2の教科書訴訟であります。 |
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2007年1月30日 (火)
脱亜論とは…
脱亜論とは…
1885年3月16日、福沢諭吉が「時事新報」紙上に掲載した社説を「脱亜論」と呼んでいる。文中で、福沢は「欧米列強に対抗するために、朝鮮・中国の開明を待つことやめ、欧米のように処分(侵略)すべきである」という主張を展開した。原告は教科書執筆に際し、「アジアの中の日本」というテーマの中で、日本人のアジアに対する差別感と「脱亜論」の関係を説こうとし、検定の際に意見をつけられた。
脱亜論の解釈をめぐって…
高嶋訴訟の最大争点である福沢諭吉の「脱亜論」について、「脱亜論の扱いが一面的であるので、それが書かれた背景事情をも考慮して記述を再考すべきである」という検定意見は、多様な学説があるという理由で検定を適法とした。
「脱亜入欧」が「脱亜論」の主張の要約か否かについて、次の3者の見解が例示されている。丸山真男は「脱亜入欧」という熟語は福沢諭吉の主張からある程度遊離して成立し使用されているとし、証人の安川寿之輔氏(名古屋大学)は「脱亜入欧」の成句の意味を「脱亜論」の主張の要約と解釈することは自然であるとの見解であり、池井優(慶應大学)は「脱亜論」は文明論の尺度からのみ成り立っているとの見解である。
「背景事情をも考慮すべきである」との検定意見の指摘について、丸山真男は、福沢諭吉が関与していた朝鮮の甲申事変の失敗による挫折感と憤激の爆発として読まれるべきだとし、池井優は、現実の日清関係の中で明治政府においては清国を仮想敵国とする軍備拡張政策を取るようになり、民間でも日清関係を日本の国益において対処しようとする動きが出てきて、これらの背景事情の下にアジアの唯一の力である日本が独自の行動を採ることが正統であるとの論拠から出てきたのが「脱亜論」であるとした。坂野潤治は、「脱亜論」の背景は直接的には壬申・甲申の事変だが、さらに福沢自身の対アジア政策論から見れば「アジア改造論」等の東アジア対外政策論の挫折という「状況構造の変化」に関係するとし、安川寿之輔氏は福沢は初期啓蒙期と呼ばれる時期から既に「マイト・イズ・ライト」の国際関係認識を前提とした国権論の立場に立っていたことを指摘している。
こうした学説対立を根拠にして、裁判所は日本の近代化のシンボルである福沢の主張に異説を唱える判断と意欲を持てなかった。代わりにだされた「勝海舟の『氷川清話』引用が著者の都合のよいところのみを抜き出した」という検定意見は、教科書調査官の勉強不足による裁量権の逸脱である、とする判断は私たちも予測していなかった。この点は松浦玲によれば、勝海舟はもともと蘭学者であったにも関わらず、同時代の日本人と異なりヨーロッパ文明と国家を是認せず、日本がそれに追従することに批判的であって、「脱亜論」との対比でいえば、海舟の考えはアジアに踏みとどまるとしている。この見解に対立する学説は国側も提示できなかった。勝海舟が非戦論と日清戦争の外債反対論と結びつけた主張をしていたことは明らかであり、福沢批判に判決が言及するのは今一歩なのだが。
「福沢諭吉批判」は彼に高い評価を与えていた、戦後の日本の論壇をリードした丸山真男のアジア観批判にもつながる。晩年の丸山は自己の中国に対する視点が通用しなくなっていることを示唆していたというが、私たち自身が真の意味でアジアの一員になることとともに、アジア観を確立する意味でも議論を続けていきたい。
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第一審の経過
高校現代社会に関わる、高嶋伸欣さんを原告とする「高嶋(横浜)教科書訴訟」が提訴されたのは1993年6月11日でした。
提訴から一審判決まで、「教科書検定資料提出」をめぐっての攻防が焦点の一つでした。検定審議会答申の内「検定意見」について、1995年3月26日に横浜地裁が提出命令をだしましたが、4月2日に国側が即時抗告しました。その後、東京高裁が原決定を取消したため、弁護団は最高裁へ特別抗告しましたが、最高裁は 高裁判断に追随してしまいました。したがって検定の基礎資料なしでの訴訟が継続され、弁護団が証人の
教科書調査官2名を厳しく尋問する形で補いました。情報公開の点でも、文部省は他省庁に比べて大きく遅れていることが明確となっています。
高校の「現代社会」を、裁判官 はもとより、若手が多い弁護団でも御存知ないため、支援する会は「現代社会研究会」を15回組織し、高校教員が「現代社会」の教科書・副教材の実情をレポートしました。その過程で、検定を通過したのが不思議な杜撰な教科書が何点かありました。出版社と執筆者の意図が不明であり、文部省が検定段階で何をしていたのかに疑問が残ります。
入江博邦・小林保則両氏と原告・中村幸次氏の証言の対比で、検定作業の杜撰さが浮き彫りにされました。検定資料や個人のメモである「手控え」は保存していない、検定意見は教科書調査官の頭の中にあるなど、常識では考えられない内容が証言されています。控訴審の準備書面でも弁護団がその点を皮肉っています。社会科調査官全体での合議などなく、調査官個人の思想が直接検定意見に反映するシステムであることも判明しました。
1998年4月22日に横浜地裁で第一審判決があり、次の2点で検定意見は裁量権逸脱・乱用があり違法であるとされ、20万円の損害賠償の支払い命令がでました。
(1)勝海舟『氷川清話・朝鮮の将来』からの引用文「朝鮮は昔お師匠様」を「都合
のよいところばかりを抜き出している感があるので再検討していただきたい」と
いう検定意見は、勝海舟の思想ないし考え方に関する学説状況の把握が不十分で
あり、判断を誤った。したがってこう した誤った把握と判断に基づいて、検定基
準に触れるとした検定意見には、看過し難い過誤がある。
(2)「湾岸戦争時の掃海艇派遣に関して東南アジア諸国の意見を聞くべきかは疑問
であり、原文記述はやや低姿勢であるから、見直しが必要である」という教科書
調査官の「ひとり言」は検定意見であり、それにあてはまる検定基準がない。
これまで記述内容に関わる4つの争点について主張を続けていたが、「教科書検定制度」に関わる憲法上の自由権、本件検定処分に対する運用違憲・運用違法の主張、文部大臣の裁量権とその範囲(違法性判断の基準)の3点についても裁判所の判断がだされました。
憲法判断は、教科書検定制度については家永訴訟の最高裁判断が踏襲されていましたが、表現の自由の侵害について「子どもの権利条約」の観点からの新たな主張に対しては、1994年5月22日にその効力が発生したため本件検定意見には不適用であるとし、法案は不遡及であるとの原則で逃げられました。
運用違憲・運用違法の主張については、判決は検定制度の運用において「教育に対する不当な介入を回避しようとする自制に欠け、恣意的な運用に亘り、または教育内容に対する介入の在り方、程度、方法においてできるだけ抑制的であるべきである」とした憲法的規範に反すれば、違憲状態が現出すると判断されました。検定規則をふまえ、検定審議会の手続をふんでいるから、本件は運用違憲・運用違法であるとする原告の主張は理由がないとされました。
文部大臣の裁量権とその範囲については、検定基準という裁量基準にあてはめる際に「恣意的でなく抑制的で厳格な考慮が払われるべきである」とし、検定基準上の細項目のいずれに抵触するかを明確にする必要があるとしています。そして、検定処分等のあてはめの判定において「看誤し難い過誤がある」と判断されるときは、裁量権の逸脱として違法性を認定するという。この点は家永3次訴訟・最高裁判決から踏み込んだ物差
しを設定しており、一歩進んだ判断だと思われます。恣意的な検定を防ぐには、現状では訴訟の積み重ねしか方法がないのです。

