「大江・岩波沖縄戦裁判」の第二審判決(大阪高裁)を維持し、上告棄却の判決を求める要請書
2008年10月31日、大阪高等裁判所は、梅澤裕氏及び赤松秀一氏を控訴人(一審原告)、株式会社岩波書店及び大江健三郎氏を被控訴人(一審被告)とする同所平成20年(ネ)第1226号出版差止等請求控訴事件について、控訴人らの控訴を全面棄却する旨の判決を言い渡しました。控訴人らは同判決を不服として上告し、現在貴裁判所において係属中です。
この裁判は、沖縄戦において、座間味島の守備隊長であった梅澤裕氏と渡嘉敷島の守備隊長であった赤松嘉次氏の遺族、赤松秀一氏が、沖縄戦下に両島で発生した住民の「集団自決(強制集団死)」は隊長命令によるものではなく、それを「隊長命令」だと記述している家永三郎著『太平洋戦争』及び大江健三郎著『沖縄ノート』は控訴人らの名誉を毀損するなどとして、出版差止等を求めているものです。この裁判は、名誉毀損の成否という当事者間の問題に留まらず、沖縄戦の実相及び本質にかかるものとして決して看過しえない重大なものであります。
第二審判決は、「集団自決(強制集団死)」に対する日本軍の関与を認め、戦隊長による関与についても「十分に推認できる」とした一審判決を支持し、元戦隊長側の控訴を棄却しました。原告側が主張した両戦隊長による直接命令については「証拠上断定することはできない」とする一方で、戦隊長命令説が「学会の通説といえる状況にある」とし、記載には十分な理由があったとして「真実相当性」を認めました。また、名誉棄損と出版差し止めに関する不法行為の認定基準として新たな司法判断を提示ました。高度の公共性と公益性が認められる事実について、出版当時に真実性ないし真実相当性が認められていれば、新資料で真実性が揺らいだとしても、直ちに出版の継続が違法にはならないと判示しました。
このように第二審判決は、「集団自決(強制集団死)」が日本軍の強制、命令、誘導により発生したものであることを確認し、沖縄戦の実相及び沖縄戦研究の成果を正当に反映したものとなっています。また、家永第三次教科書訴訟の最高裁判決(「集団自決の原因については、日本軍の存在とその誘導、守備隊の隊長命令」かつ「一律に集団自決と表現したり美化したりすることは適切でないという指摘」を認定)にも添うものであります。
私たちは、貴裁判所が、沖縄戦研究の成果と体験者の悲痛な証言を踏まえ、直ちに上告人らの請求を棄却し、第二審判決を維持されるよう、強く要請するものです。
氏 名 住 所
最高裁判所 御中
大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会
沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会
大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会
連絡先:〒101-0051東京都千代田区神田神保町3-2 千代田区労協気付 03-3264-2905
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