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2011年3月11日 (金)

「教科用図書調査研究の観点及び研究の結果等について(請願)」の審議に関する要望書

神奈川県教育委員会  教育委員長 平出 彦仁様

    「教科用図書調査研究の観点及び研究の結果等について(請願)」の
                          審議に関する要望書
                                 
                                              2011年3月11日
                                       教科書・市民フォーラム
                                  代表 高嶋伸欣  佐藤満喜子
                                  横浜市中区相生町1-18光南ビル
                                 
  貴教育委員会に提出され、継続審議となった「教科用図書調査研究の観点及び研究の結果等について(請願)」の審議に際し、以下を要望する。
  教科書は、教育基本法など関連法規と学習指導要領に準拠して編集することが義務づけられ、文部科学省が行う検定は学習指導要領を中心とした検定基準によって行われている。さらに、教科書出版社は、検定申請時に提出する編集趣意書の対照表で、教育基本法第2条「教育の目標」の5項目が記述されているページを届けることが義務づけられている。
  文科省は、これらの手続きと検定によって教育基本法と学習指導要領を正しく反映しているかどうかを調査し、認められたものだけを検定合格としている。したがって現行教育基本法を踏まえて検定合格した教科書は、すべて教育基本法改正の趣旨を反映したものである。
 また、今回の教育基本法の改正は、多岐にわたる大幅なものであったが、それぞれの改正部分の趣旨については、軽重をつけるべきことがらではない。学習指導要領で触れているそれぞれの内容についても同様である。
  請願の①が求める「我が国と郷土を愛する態度の育成」をことさらに取り上げて調査の観点を設置するのは、国が検定を行った教科書について、この観点に関わる範囲を教育委員会が再検定することになり、都道府県教育委員会の行う教科書採択の裁量を越える。また、他の項目との均衡を欠く行為であることも明らかである。
請願②では、教育基本法第2条の教育の目標に挙げられていることを理由に、「我が国と郷土を愛する態度の育成」「伝統や文化に関する教育の充実」「道徳教育の充実」の3項目をより重視した調査研究を求めているが、検定では「目標」に掲げられている5項目を具体的に調査していることは上記のとおりであり、特定の目標だけを抜き出して重視することは、公平性を欠き、教育内容の偏りとなりかねない。
 第3次家永教科書訴訟の東京高裁判決(1993年10月20日)では、学習指導要領等を含む法規すべてにおいて、その解釈と運用は厳密、厳格でなければならず、仮にも恣意的な解釈で運用があってはならないとの大原則を明確にした上で、争点となっていた検定事例4件において、恣意的、便宜的な解釈と運用があったとし、国側の職権乱用による違法行為と認定された。これに国側は一切の反論ができず、この論理を採用した最高裁判決(1997年8月29日)によって、国側の敗訴が確定し、国庫から40万円の賠償金が家永氏に支払われている。
 もし今回、仮に別記請願通りに、関係法律や学習指導要領等に列記された目標等の特定項目を特段重視した調査項目を設定することになれば、それは上記最高裁判例に抵触し、違法とされた行為を神奈川県教育委員会が実行することになる。これは明らかにコンプライアンスに反する行為である。

 以上により、「教科用図書調査研究の観点及び研究の結果等について(請願)」の①および②については、都道府県教育委員会として、受け入れることが可能な範囲を超えた内容を求めたものである。請願項目①、②は採択しないよう要望する。
                                                            以上

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2011年3月 9日 (水)

神奈川県議会、2011年度採択に向けて右派の請願を採択か

 神奈川県議会に2011年度採択に向けて右派の請願が採択される模様です。
3月9日の文教常任委員会で、6:4で可決されてしまいました。
(賛成---自民4・公明1・みんなの党1 反対---民主3・神奈川ネット1)
3月14日午後1時からの本会議の終了直前に採決に付され、
賛成多数で可決されるものと思われます。

「教育基本法や学習指導要領改正の趣旨に最もふさわしい教科書を採択すること」を求めており、県立中高一貫校の教科書採択をタイトルにしていますが、請願趣旨は神奈川県内各地の議会に提出されたものと同じです。<資料1>

 請願は締め切られていますので、文教常任委員会の議員とその会派あてに、以下の要望書を届けました。<資料2>

●本会議までに、このような請願趣旨について反論する、法律家や研究者からの声明や要望書(個人でも可)を各会派あてに出していただければ幸いです。

この件の問い合わせは:電話 090-9293-8446 横浜教科書採択連絡会

県議会(議長あて・会派あて)
   〒231-8588 神奈川県横浜市中区日本大通1
   http://www.pref.kanagawa.jp/teian/teian.htm

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<資料1> 神奈川県議会に提出された県立中高一貫校の教科書採択の右派請願
 
2011年3月9日文教常任委員会で可決の場合は、3月14日1時からの本会議で裁決

請願番号89 受理年月日 23/2/22
件名   県立中等教育学校の教科書採択についての請願
請願者  逗子市●●●●
教科書を良くする神奈川県民の会 代表 小関邦衛
紹介議員 内田みほこ(自民党)佐々木正行(公明党)笠間茂治(県政会)

1請願の要旨
平成23年の県立中等教育学校の前期課程(中学校相当)の教科書採択では、教育基本法や学習指導要領改正の趣旨に最もふさわしい教科書を採択すること。

2請願の理由
教育基本法が約60年ぶりに改正され、それに伴い学習指導要領なども改正されました。今年は、新しい教育基本法や学習指導要領に基づく中等教育学校の前期課程(中学校相当)の教科書採択が行われます。
教育基本法の改正は、戦後の教育が個人主義に偏りすぎたとの反省に立ち、「豊かな情操と道徳心を培う」「伝統と文化の尊重」「我が国の郷土を愛する態度の育成」などを主な改正点として行われ、学習指導要領の総則にも明記されました。
また、教育基本法第1条(教育の目的)は「国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない」と定めており、教育基本法の主な改正点は、日本国民を育成するというわが国の教育の目的を達成する上でも極めて重要なものです。また、平成24年度から後期課程(高等学校相当)では日本史が必修化されますが、「わが国の歴史や文化、伝統について理解を深める」という必修化の趣旨とも一致します。
教育基本法や学習指導要領改正の趣旨が、適切に教育内容に反映されるために、教科書の果たす役割は死活的に重要です。つきましては、教育基本法や学習指導要領改正の趣旨に最もふさわしい教科書が採択されるように請願致します。

<資料2>右派請願の問題点を指摘した各会派あての要望書 

神奈川県議会 各会派団長様
各議員様

県立中等教育学校の教科書採択についての請願の扱いに関する要望書
2011年3月8日
教科書採択制度の民主化を求める神奈川の会
代表 高橋 進
連絡先 横浜市旭区■■■■
 教育委員会は、一般行政から独立して教育行政を管理・運営する機関です。教科書採択は、その独立教育行政機関である教育委員会が行う教育の「内容」に関わることであり、最も大切な仕事の一つとされています。
この教科書採択にあたって、教育委員会がどのような方針や選定基準で、どのような教科書を選ぶかは、教育委員会の独自の権限に属すことであり、他者が教科書採択について規制したり干渉したりすることは、法制度上、許されていません。
教育内容への介入が許されないという点は、首長や議会についても同様です。本議会に「県立中等教育学校の教科書採択についての請願」(請願89)が出されていますが、これはどのような教科書を採択するのかという教育委員会の権限および教育委員会が扱う教育内容に、議会が直接介入することを求めています。
さらに、4月から行われる中学校用教科書の採択に参入する2社の教科書をそれぞれ編集し、採択活動を行っている2つの団体が、この請願と同趣旨の主張と宣伝を行っています。したがってこの請願を了承することは、教育行政への介入だけでなく、特定の教科書の宣伝に議会が加担し、その2社の教科書の採択を求めることになっいてしまいます。

このような請願を採択することは、教育内容への干渉や特定の教科書への利益誘導につながり、議会としてはなじまないものです。場合によっては、教育基本法などに抵触する可能性も考えられます。

議員各位におかれては、この請願の審議および取り扱いについて、貴議会の見識に基づき、慎重に対処するよう要請します。

以上

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